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「日本画 大橋翆石」
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日本画 大橋翆石
彼は世に「虎の翆石」と言われていて知名度が高く、その描くところの虎画は、まるで本物の虎が魂を持っているようにように躍動感がある作風が特徴的です。 若き日の彼が到達した虎画を見せられた人は驚嘆し、また従来の日本画とは一線を画した濃密な背景表現に特色を持つ独自のスタイルを確立させた彼の才能をうかがわせるエピソードです。 彼は幼少の頃から画を描く事が好きで、地元大垣の南画家戸田葆堂、その師である京都の天野方壷らに就きます。 そこで、画の手ほどきを受けるのです。方壷のもとでしばらく学んだ後、一時大垣に帰郷したが、母に諭されて、東京に出て、渡辺小崋に弟子入りしその後大垣に帰郷し、明治24年に濃尾大震災で父を亡くし震災後に虎の見せ物小屋で虎を実見したことを契機として虎画の制作を精力的に行うようになります。翠石の虎画。それは毛描きに対する緻密さが特徴。翠石自身も「この毛描き以上の工夫がなければ、翠石の虎画を模しても翠石以上の者はでないであろう」と語るくらい虎画について深く追及している画家なのです。 画家として本格的に創作活動をし始めてから虎の絵は神戸でも評判となり、当時、阪神に住む資産家で彼の作品を所有していないことは恥とまで言われたのです。勇猛な虎の画風とは対照的に、翠石自信、はにかむような静かな人柄。、一時の名声に執着することなく恬淡と好きな虎の絵を描き続けたくいらい彼は凄い才能の持ち主なのです。 彼の画業の中では、神戸・須磨での活動期間が最も長く、その作品群を須磨様式と言います。また、虎以外にも獅子、鶴、金魚、狸、鹿、猫、兎などの動物画も多く動物画以外にも観音像、山水、蛍などの作品もあり、とても画域が広い画家なのです。 彼の作品は青年期から初期、中間期、晩年期、最晩年と描き方が変わっていきます。同じ虎を描くのに、ここまで作風が変わっていく点に、彼のこだわりが感じられるでしょう。 彼の作品を改めて見てみると、なるほどこれは日本一の虎の画家だと感じるでしょう。これ程「日本一」という言葉が似合う画家はそうそういないでしょう。
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